Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
「豊に未練がないなら、別に俺と付き合ってもいいんじゃないの?」

「・・・千里さんは無理です」

千里さんはモテ男。兄よりも一歳年上の三十六歳。
フランスの修業時代、一度フランス人女性と結婚したらしい。
しかし、修行を終え帰国する際に離婚。今は独身。

妹と弟のように芸能人ではないけど、メディアには積極的に顔を出しているし、テレビにも出演。
彼と噂される女性陣の中にも芸能人が混じっている。大概は彼の作るチョコレート菓子のファンが多い。
見た目の美しさと味で女性を虜にして、そのまま彼女たちを食べてしまう。
危険なオトコ・・・

「別居婚って言われてもいいワケ?」


「それは困る…」

「俺が君の恋人の振りしてもいいぜ…」

「それってフェイクでしょ?」

「そう、フェイク…フェイクラバーだ」


千里さんは悪びれる素振りを全く見せず爽やかな笑みを浮かべ、強い口ぶりで言う。

「お断りします…」

「まぁ、返事はいつでもいいよ…睦月さん」

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