Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
豊は完食し、「ご馳走様」と合掌。
私の言う通り、さっさと部屋から出て行こうと玄関先に向かう。

「これ…どうぞ」

「何これ?」

私は帰り際に、彼の内緒で作ったサンドイッチを渡した。

「明日の朝食用のサンドイッチよ・・・食べなさい」

「いいのか?」

「容器は返さなくてもいいから・・・」

「ありがとう…睦月」

豊は軽く笑い、礼を言うと自分の部屋に戻って行った。

彼の部屋には空の写真がない。
彼の中には私も空も居ないんだと思うと切なくなった。
つい腹が立ち、あんな心にもないコト言ってしまい、後悔する。

彼は唯のご近所さん、そう思うコトにしよう。
< 45 / 249 >

この作品をシェア

pagetop