Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
母に手向けの花束を渡し、私がバケツと柄杓を持って、墓石に向かった。

神楽坂家の墓石に到着すると驚くべき人物が立っていた。

「豊…」

「豊君?」

豊は数珠を持ち、黙とうを捧げていた。

私達の声で閉じていた目を開き、後ろを振り返る。

「豊君も空の命日を憶えていてくれたのね…」

「はい…」

豊は神妙な顔で返し、目を合わせる私からはそっと視線を逸らした。


「あら立派な花ね…この花どうしようかしら?」

「一緒に入れて下さい…」

豊は遠慮する母を気遣った。

「そう・・・ありがとう・・・」

母は豊の手向けた花束と一緒に持っていた花束を手向けた。

「仕事忙しいのに・・・」

「いえ・・・俺はこれで失礼します…」

終始豊はほとんど話をせず、足早に去っていく。



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