Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
豊は何を思って…来たんだろう・・・

彼は空のことなど忘れたはずなのに。

私は墓石を水で清め、線香を燃やし、手を合わせて黙とうを捧げた。

「豊君も空のコト、忘れてないのね…」
そう呟く母に感情的に反論した。

「そんなコトないわ…豊は空の写真を捨てたのよ…」

「睦月…」

「…酷い男よ…」

「睦月…貴方、まだ・・・豊君のコトを忘れてないのね…」

「忘れた…確かに愛していたけど…今は違う…」

「睦月・・・」

「私、付き合おうと思ってる人が居るの…」

墓石を後にして、寺の境内の脇を通って寺門に向かって石畳を歩いて行った。

「どんな方?」

「お母さんの知ってる人…千里さん…御堂千里さんよ・・・」

「睦月!?」

「お母さんが御堂家と関わるのはよせと言ったのは…御堂社長が元恋人だからでしょ?私そうお父さんから訊いた…」

「珀斗さんも余計なコトを…」

母は父に対し、恨めしそうに呟いた。


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