Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
「食べるのが勿体ないなぁー…」

「食べる為に作ったんだから…ちゃんと食べてよ。豊」

「そうだよ…なぁー…睦月」

「でも、まずは乾杯だろ?」

「そうだな…」

豊と摩弥さんが選んだ信州の白ワインで乾杯。

「美味しい…」

「摩弥は料理苦手だから…睦月に教えて貰えよ…」

「そうね…私も睦月さんのクッキングスクールに入校しようかしら・・・」

「でも・・・摩弥は仕事忙しいから…そんな暇ないだろ?」

「まぁね」

摩弥さんと豊は微笑み合いながら話を弾ませる。

「どうした?睦月…君の作った料理だ…君も食べろよ」

「分かってる…ありがとう…千里」

夕食の後は四人でウノで盛り上がった。

夜十一時…

コテージを囲む草むらの中から聞こえる虫の音を訊きながら私と千里さんはベットに転がった。

仲良く並ぶ二つのベット。

「以前にも増して、仲いいな…あの二人…」

「…豊と摩弥さんは本物の恋人同士だから…」
私は千里さんに背を向けて切り返す。

「まぁ、俺達は…フェイクだからな…」

「そうよ…」

私は強く応えた。

「お休み・・・睦月」

「お休み、千里さん」

千里さんがスタンドの電気を消した。
軽井沢の一日目の夜は更けていく。
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