これが最後ですよ
「えー?どれどれ〜」
そして〝まっすー〟と呼ばれたその人はこちらに向かって歩いて来た。
私は呆然と、目を見開いてその〝まっすー〟を見つめ続けた。
「……って、え?」
「ほら、まっすーの好みだろ?可愛いじゃん」
「……」
「ん?まっすー?なんだよ固まって」
「……佐竹?」
焦げ茶色の髪が似合ってる彼。
私と同じように目を見開いてこちらを見つめている。
「もしかして知り合い?なぁ、まっすー?」
「……先輩……」
「ちょ、2人ともなんか顔赤くない?
おーい、もしもしー?
つか、佐竹さん?だっけ。なんで泣いてんの……?」
〝おう、忘れるわけねぇよ!〟
〝うわー、顔真っ赤じゃん〟
もし、次先輩に会えたとしたら、
〝じゃあな〟
……ちゃんと素直に――
「……先輩、
ずっと会いたかったです」
私の言葉を聞いて、先輩は驚く様子を見せる。
ユカちゃんや周りにいた人達が一斉にざわっと騒ぎ出して。
先輩は、ぷっと小さく吹き出した。
「……素直過ぎなんだよ」
もう後悔しないように。
……先輩、
覚悟してて下さい。
-end.-