ロマンスフルネス 溺愛される覚悟はありますか?
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なのに。
「今日は透子のために最高の合コンをセッティングしたからね」
「え?無理無理!わたし合コン行かないし、それに今日は大事な予定あるから」
「そんな事言ってないで、いい加減透子もちゃんと恋人作った方が良いと思うの。私たちもうすぐ30でしょ」
今日に限って合コンに誘われる。断ってもなかなか引かないのは由依には珍しい。真剣に私を心配してくれてるので、嘘をつくのは心が痛かった。
だけど、彼氏があの真嶋 夏雪副社長だって言ったら大変なことになるしな…。
夏雪は会社の女性社員の間では超希少生物として認定されている。御曹司な上に、イケメンを越えた幻のイケメン。その姿を見ることが最大の福利厚生とか言われてる。恋人が私だと聞いて納得できる人はいないだろう。
由依に申し訳ないので、彼氏ができたとだけ伝えておいた。
「きゃーーーーー!まじで!おめでとう!どんな人なの!?」
「いつかゆっくり話すから」
由依の追及をどうやってかわそうか身構えたけど、思っていたような質問攻めにはならなかった。由依は何かを考え込んでいるようだ。
「じゃあ合コンっていうのはとりあえずナシで…。 でも、今日、どうしても飲みに行けない?」
「空いてたら行きたいんだけど、ゴメン今日だけは無理なんだ。」
「そっかー、困ったな…」
何を悩んでいるのか由依は表情を曇らせる。その訳を聞いてみて仰天した。
「サプライズパーティー?私の!?」
「実は同期の女子で透子の送別会をしようって企画してね。普段は予約が取れないお店が、蓮華のコネで今日なら行けるって話になって…
ゴメン、ネタばらしちゃって」
「いや全然大丈夫。気持ちはめちゃくちゃ嬉しいんだけど」
断ろうとして、ふと考える。
同期は仲良く見えるけれど、女子会は女としての序列を競う社交場でもある。 同期の女子には気の強いお嬢様や、雑誌の読モをやってる美人さんもいる。
サプライズパーティーの企画をしたのに、私が行かなかったらみんな興ざめだろう。私を誘う役目の由依が、肩身の狭い思いをするのは必然。
ううーーー
行かないとマズイ…かな
頭の中では駄々っ子のように両手両足をバタバタしながら「イヤだ!」と叫ぶ自分がいる。それをなけなしの理性で押さえつけた。
「分かった。大丈夫、予定開けるよ」
「本当!?ありがとう!」