ロマンスフルネス 溺愛される覚悟はありますか?
…
「やっぱりあんな言い方しなくても良くない?
ってかもう、今頃みんな発狂してるって…」
「ふふ、先程より元気になりましたね。発狂するほど人は他人に興味ないですから、問題ありません。」
キスした後の照れ臭さをかき消すようにブーブー文句を言うと、夏雪が笑った。
夏雪の言うとおり、さっきより格段に元気になってしまった自分に気がつく。同期の前で作り笑顔を浮かべたり、どうやって取り繕おうか考えていた時とは大違いだ。そう考えてみれば、夏雪と付き合っている事を話しても案外良かったのかもしれないけど…
「ホント大丈夫かな…。夏雪、会社で何言われるかわからないよ?」
「心配いりません。それより、今日はあなたを連れて行きたい場所もあるんですよ。」
テラスを回ってオフィスフロアに戻り、エレベーターを抜けてショッピングモールに向かう。
ショッピングモールと言ってもここは『作品』とか『芸術』っていう言葉が似合うような超一流品しか置いていない名店揃いで、名前は知ってるけど入ったことはないお店ばかり。
その中でもひときわきらびやかで、入り口のドアにガーディアンのような屈強な男性が仁王立ちしてる店の前で夏雪が足を止めた。
「べ、ベリーウィンストン…!」
「あなたに贈り物がしたい。ここで透子に合うものを探しましょう」