ロマンスフルネス 溺愛される覚悟はありますか?


色々と頭を駆け巡ったことが顔に出ていたらしい。


「私のことは気にしないで大丈夫ですよ。昔は結婚していたこともありましたし、少なくとも夏雪様よりは女性の生活に必要な品々の知識はありますから」


「そうなんですか…」


何が大丈夫かいまいち分からなかったけど、それ以上に九重さんが「結婚していた」と過去形で語ったことで頭がいっぱいになる。プライベートなことだし、余計なことは聞かない方がいいかな。



「それにしても、ハイブランドばかりで私には贅沢過ぎる感じが…」


「いえ、こちらで生活して頂くにはそういったものが役に立つ筈ですよ。」



よく分からないけれど、そういうものかな。回りを見渡すと、確かにどの人も上品でドレッシー。シワなんてひとつもないキレイな服をまとっている。これじゃ確かに私の普段着では浮いてしまうかもしれない。



その時、自然と窓辺で楽しそうに離している女性たちの会話が耳に入ってきた。


「『蘭』様の写真展はもうご覧になられて?」


「いえ、まだなんですの。娘から話を聞いて、もうすぐにでも見に行きたいと思っていたのだけど。真嶋の姫の美しさをこの目で見れる機会なんてないですものね」


「早く行った方が良いわよ。本当に素敵よ、若くして亡くなった事が惜やまれるわ…」

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