匂わせのストーリーが更新
いつもの如く『ただいま~』と入れば「お前の家じゃねえし、笑」と突っ込んでくれるのが結構好きだったりする。
『湊のばか』なんて初めは愚痴っていたけど、今じゃもう彼の隣に座って、缶の蓋を開けて勢いよく飲んで、数馬とくだらない話をするだけで嫌なことは気にならなくなる。
『なんで今日もイケメンなのムカつく』
「え、なに今日当たり強くない?」
『褒めてるよ?』
「いや、絶対貶してんじゃん」
どんなときも飲みながら付き合ってくれる彼には頭が上がらなかった。
それに、彼の笑顔に、優しさに、たまに出る少し男らしいところに、惹かれてしまっている悪い自分がいることもちゃんと自覚していた。
でも数馬のところに来てしまう、結局。
『今頃あの子と一緒にいるのかなあ、』
「…連絡は?」
『どうせ来てないから見てない』
「…考えても辛くなるだけだろ」
『…私ってそんな魅力ないのかな、』
ぽろり、と呟いてしまった心の声。
2人の間に流れる無言のせいで缶を机に置く音がやけによく聞こえる。
「魅力ないわけねえだろ、」
『…え?』
「それを忘れてるあいつが悪いに決まってんじゃん」
『数馬、っ、』