優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~【リニューアル版】
祥太君が、一瞬、目を閉じた。


そして、ゆっくりと開いて、私を見て言った。


『俺、結菜ちゃんのためだけに弾いたよ』


って。


ドキッとした。


あの素晴らしいピアノを…


私だけのために?


嘘でしょ…


なんだかまた急に心臓が鳴り出す。


そこに、注文した料理が運ばれてきた。


『お腹空いたね。まずは食べよう』


『あっ、うん。そうだね』


私は、ドキドキを隠しながら言った。


『美味しい』


『そ、そうだね。うん、すごく美味しい』


せっかくの食事なのに、緊張のせいか、あんまり味がわからない。


とりあえず、私達は短時間で食事を終え、店を出た。


傘をさして駅までの道のりをゆっくりと歩く。


人通りはまばらだった。


『ねえ…結菜ちゃん』


急に名前を呼ばれてドキッとした。


『あっ、はい』


『ごめんね。改まって言うの恥ずかしいけど…俺、決めてたんだ。今日のコンサートの後で必ず言おうって』
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