優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~【リニューアル版】
私は、ある程度買い物を終えて、時間を見て焦った。


『嘘、夢中になっちゃった。早く帰らなきゃ』


慌ててタクシーに乗り、家にたどり着いてドアの前に立った。


2回、深呼吸をする。


そして、ゆっくりと音を立てずに玄関に入り、自分の部屋に直行した。


周りを気にしながら、何だか間抜けな忍者みたいだ。


部屋に入ったら、彼の気配を消すために、すぐに着替えて淡い香りの香水をつける。


それはいつもと同じ行動。


準備が整って、何もなかったかのようにキッチンに向かったら、そこで旦那と会った。


思わずハッとする。


『なんだ帰ってたのか』


感情を出さず、素っ気ない感じで言う旦那に、


『ごめんなさい。すぐに食事の支度するね』


と、わざと笑顔を作った。


『今日はいい。外で食べるから』


え…


だったらいらないって連絡してよ。


思わず出そうになったその言葉を必死に飲み込む。


『そ、そう…わかった。お義母さんは?』


『さあ? ずっといないから、いつもの茶飲み友達とでも出かけてるんじゃないか?』


『そうなんだ。じゃあ、2人とも食事はいらないんだね』


『まあそうなんじゃない。俺に聞くなよ』


旦那と旦那のお義母さんは、いつもこんな感じ。


毎日食事を作る私の身にもなってほしい。


でもわかってる、そんな気遣いを持ってる人達じゃないんだから期待するだけムダだって。


食事を作らなくていいならラクだし、気にしないようにすればいいだけ、いろいろ片付ける時間ができたと思えばいいんだ。


私は、ため息をつきながら、また2階に上がった。
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