優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~【リニューアル版】
『私は座ってるだけだから大丈夫。でも…ありがとう』


そういう優しい言葉って、人間の心を温かくするんだ。


こんなにも胸が熱い。


旦那を見て沈み込みそうになる気持ちに、3人の青年はいつも明るい光を照らしてくれる。


だから私は、毎日笑顔でいることができてるんだ。


『じゃあ、始めるよ』


颯君はキャンバスに向かった。


真剣な表情で、絵の具を使って細かなところまで塗り込んでいく。


5分の4は描けたみたいだった。


『あと少しだね』


ん?


私の言葉、聞こえなかったのかな?


颯君は…一瞬、何も言わないで黙ってしまった。


そして、その後、


『…完成…させたくない』


そうポツリとつぶやいた。


『…颯君?』


筆が止まって動かない。


『俺、もちろん結姉の絵を完成させたいけど、でも、完成したら…結姉との2人だけの時間が無くなるだろ』


『何言ってるの。ずっと同じ家にいるんだから、いつも一緒にいるじゃない』
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