行き着く先は・・
(二十八)

••いすず


悠人ときちんと別れてからも
相変わらずの毎日を送っている
いすずだった。

両親からも飽きれられてしまった。

私は、恋愛とか結婚には、
向いてないと
良くわかった·····が·····

これから先も、
ずっと一人かと····思うと
寂しさが押し寄せてくる。

そんな時に
給湯室で······
「山田さんて、ずっと独身なのかな?
仕事が好きすぎて気持ち悪いよね。」
と、事務の娘達が話しているのが
きこえた。

気持ち·····悪いか?····と
思っていたら

「仕事が好きで、何が悪い。
独身の何がわるいんだ?
ほら、さぼってないで
仕事。仕事。」
と、支店長。
「仕事が好きって、悪い事じゃない。
会社としてもありがたい事だ。
胸を張っていろ。」
と、私がいるの
気づいていたんだ。
「·····ありがとう···ございます。」
見えない支店長に頭を下げる。

彼は、この四月に転勤してきた方だ。

顔がすこぶる良いわけではない
悠人よりも背が低くて
パッとしないが
仕事は、出来るし
部下の使い方も上手い

さっきの事務の娘達も
笑いながら退散していった。
メリハリのある方だ。

私も少し仕事以外に
楽しみを見つけよう。

そんな風に思えるように
なったのは、
年のせいだろうか······
悠人との別れのせいだろうか·····

その日をきっかけに
支店長と飲みに行ったり
する仲になった。

お互いに独身だ。

だが、二人とも恋愛や結婚に向いてない
だから、友達?仲間?
みたいに過ごしている。

お互いの失敗談も話してある。
私は、頭の話しもした。
偏頭痛も術後起きていない。

支店長といると
肩の力が抜けてしまう。
気を遣わなくてよいのだ。

だが、仕事には厳しい人だから
私も負けずにやるが
前ほどにがむしゃらには
していない。
若い人達もいるし
私が·····私が····じゃなくても良いかと。

二人でいて
この先もと、思えたら
一緒になれば良いと
話している。

なんせ、支店長は転勤族だから。
いつか、ここを離れるだろうから。

だけど、今が一番
楽しいと感じていた。
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