行き着く先は・・

••悠人


悠人は、
希空が聡吾さんと結婚して
寂しような、虚無感を感じていた。

だが仕事は、毎日待ってはくれない。
一日、一日がすごく早く流れていく

自分は、このまま一人で
生きて行くのかと考えるように
なっていた。

近頃は
修吾さんについて
経営会議にも出席をしている

各部門の社長や支店長
統括マネージャーが集まり
修吾さんに報告や相談をする。
顧問弁護士も待機しているから
弁護士を通すような問題は
先生へと依頼する。

だが、これだけの人を統括する
修吾さんは素晴らしい方だと思う。

ずいぶん苦労をしてこられたらしい
家庭も家族との生活もなかっただろう。
亡くなった奥様に
あまり愛情はなかったようだが
たった一人の息子である
聡吾さんとの確執に
辛い思いをしてきたはずだ。

その代償と言うか
修吾さんが得た物が
この場にあるんだと思う
「悠人、今の案は通せるか?」
「はい、可能かと。
ですが、売上を50%以上を望みます。」
すべての売上を管理させて
もらっている。

毎月、半年、一年と定期的に
監査も入る。

俺の部下には、優秀な人材が多く、
俺がいなくても
回るようにはなっているが
修吾さんが、俺を必要としてくれるなら
自分の能力を発揮したいと
思っている。

今の悩みは、
レストラン部門の統括マネージャーの
パオラ(Paola)32歳から、
なにかといちゃもんをつけられている事だ。

的を得たことも言ってくる
頭の回転も早くて優秀だと
思うが·····
俺じゃなくて、修吾さんに言えよ
と、言うことも俺に言ってくる。

修吾さんは、笑いながら
「悠人、パオラに気に入られたな。」
と、言うから
「あり得ないでしょう。
あんなにいちゃもんばかりで。」
と、伝えると
「パオラは、自分が認めた人にだけ
あんな態度をとるんだ。
悪く思わずに見てやって欲しい。」
と、言われた。

そうなのかと思うが
希空の相談してみようかな
と、思っていたら····

数日後に茜さんから
「悠人君、
パオラから気に入られたみたいね。」
「修吾さんにも言われたのですが
私には、そんな風に見えませんが。」
「う~ん、中々自分を出さない娘だから
でも、興味のない人とは会話もないの。
私も花をいけるときに話すけど。
今度四人で食事しましょうか?
悠人君が嫌じゃなければ。」
「嫌ではありませんが。
いいのですか?
修吾さんの大切なスタッフを
私なんかで。
私は、結婚も婚約も失敗してるのですよ。
ましてや、茜さんの大切な娘さんを。」
「あら、希空は今幸せだから
いいじゃない。
それに、あなたは、修吾が認めた人よ。
私も修吾も希空だって
悠人君に幸せになって欲しいと
思っているのだから。」
と、言って貰えて
本当にありがたいと思っていた。

パオラと、どうなるかわからないが
友人が増えるのも良いと
思ったから食事を一緒にすることにした。

パオラは、身長は希空ぐらいで
ブラウンの髪をショートにして
顔は綺麗で、ボーイッシュ
いつもパンツスタイルで
耳には小さなピアスをしている。
どんな会話をするのか
楽しみにしようと思っていた。

日本の両親は、希空とLINEのやり取りを
しているらしい。

らくらくホンとか言うやつ?
あの親父がとも思うが。
希空が可愛くてたまらないようだ。

誕生日や父の日・母の日
クリスマスには、希空が贈り物を
してくれるみたいで
孫ができたようだと言っていた。

聡吾さんとの式にも本当は
参加してほしかった希空だが
俺が止めた。
写真だけを送るように
「悠人より、良い旦那をみつけた。」
と、喜んでいた。

修吾さんは、少し複雑みたいだが
希空は、修吾さんにも甘いから
良しとしてくれている。

希空は、本当に誰にでも優しく
誰にでも、笑顔をくれる。

俺は、大きな物を自ら失ってしまったが
希空が、聡吾さんの元で
幸せにしてくれているから
それを見守りたいと思っている。
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