行き着く先は・・
••希空のおかげ
俺といすずは、
同僚の結婚式で知りあった。
隣のテーブルにいた、いすずを
綺麗な人だと思い
話しかけ連絡先を交換した。
いすずも俺の事を
気に入ってくれたみたいで
その後、俺達は、
デートを重ねていった。
いつもいすずは、
長い髪をくるりも纏めて
きっちりとしたスーツ姿で
颯爽としているが
涙脆いし、良く笑うし
年上だが·····
ハラハラ、ドキドキして
俺は、いすずに惹かれて行き
すぐに告白をした。
当時·····
俺が、25歳
いすずは、27歳
その翌年には結婚をした。
俺もいすずも
お互いに夢中で
毎日が楽しかった。
しばらくすると
いすずが妊娠をした。
俺は、嬉しさに舞い上がっていた。
だが、いすずは
大きな得意先から依頼を受けていて
妊娠を喜ぶ感じではなかった。
何度も心配で
仕事をセーブするように
言ったが
「わかった」
と、言うだけで
聞いてくれなかった。
「俺は、いすずもお腹の子供も
大事なんだよ。
ずっとと言ってるわけではない
安定期に入るまでで良いんだ。」
と、言うと
「今、大事な時期なの。
私にとって踏ん張り時なのよ。
気をつけるからお願い。」
と、言う。
毎日、こんな会話が
続いていた。
俺は、やれる範囲で家の事はやった。
妊娠4ヶ月の時に
大量な出血をして
子供はいなくなった。
あんなに愛していたのに
俺の願いを無視して
仕事にのめり込み
挙げ句に子供を亡くしても
謝るわくでもなく
いすずは、退院すると
これ幸いと言った感じで
連日、仕事に明け暮れ
俺に抱かれる事も拒んだ。
そんな俺達の関係は
一気に冷えて行き
会話もなくなり
お互いに仕事に明け暮れた。
その時に
いすずの海外への長期出張が
決まり····いすずから·····
「身軽になって行きたい。」
の一言で離婚を決めた。
たった二年の結婚期間に
両親達には呆れられていた。
それから、お互いの事は
何も知らなかった。
それなのに、
今日再会するなんて······
当時は、愛していただけに
いすずの態度や豹変に
ショックでもあり、苦しみもした。
恨みさえもあった·····だが····
今日あって
元気にしていたのだ
と、安堵した。
それはきっと
自分が今、穏やかだからだ。
クスッ、希空のお陰だな。
そう、思いながら
携帯と思い付いてみると
希空から沢山のLINEと
着信があり
心配かけたのだと
それから急いで帰宅した。