行き着く先は・・

••送別会


二日間は、比較的ゆっくり過ごせた。

付き合ってから
悠人さんの出張は初めだったが····

居ないことの不安より
胸の中が···ジクジク···と痛んだ。

聞けばよいのは、わかっているが
勇気が····ない····

そんな私の気持ちもしらず
悠人さんから、
毎日LINEがくる。

だけど私は、三回に一回の割合しか
返せなかった。

悠人さんは、出張から
そのまま会社にきたようだ。

総務にも顔を出すが
私は、バタバタしていて
頭を下げただけだった。

昼休みもバタバタと仕事を
していたが
加瀬君から社内メールで
送別会の場所と時間の連絡がきた。

それまでに
少しは片付けようと躍起になる

送別会の会場につくと
皆が次々にやってきて
やはり、良い人達に恵まれた
と、感謝の気持ちでいっぱいにだった。

お陰で悠人さんに関わることもなく
悠人さんの事も頭になかった。

22時にお開きとなり
当然一緒に帰ることになるだろう
と、思っていたら
私の横に影ができ
見上げると悠人さんだった。

悠人さんも困ったような顔をしていたが
二人とも、黙ったまま
駅に向かう
何か話さなければと
思うが······

すると·····人だかり····
どうしたのかな?と思っていると····

悠人さんは、何か気づいたのか
「何やってるんだ」
と、呟くと
ツカツカと
その人だかりの中に

私もそっと覗いていると
「いすず····またか····」
等と話して···いた·····

その声色は、とても優しくて····

するとその女性を
抱き上げた

ひぃっ···と口から漏れる

女性は、写真の女性で

女性も····悠人···と呼んでいて

悠人さんに抱き上げられて
安心したように
目を閉じた。

私は、その場から離れて
建物の影に隠れた。

悠人さんは、女性を抱えて
キョロキョロしていたが
少し考えて
タクシーに二人で乗り込んだ

私の瞳から
ボタボタと涙が溢れていた

直ぐにひかりへ連絡をすると
「希空?どうした?」
「··········っ·····っ···」
「希空。直ぐにおいで。
タクシーを使いな、わかった?」
「·········ウ····ン······」
と、言うと携帯を切ったか
どうかも定かでなく
ひかりのマンションに着くと

ひかりは、私を見て
直ぐに抱き締め
部屋に入れて
私をソファーに座らせて
一度離れてタオルを渡してくれた。

少しするとお風呂に入るように
言われて、お風呂場に
連れていかれ入らせられた
「しっかり、湯船につかりな。」
と、言われて
なんだか·····体が軽くなるような
お風呂からあがると
タオルとミネラルウォーターが
置かれていて
ひかりの優しさに
また、涙が滲む

ひかりの部屋着を着て
ひかりの元に行くと
「温まった?」
「うん、ありがとう。」
ひかりは、私から話すまでは
何もきかない。
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