行き着く先は・・
••突然の告白
仕事をバタバタと片付けて
早瀬さんに連絡してから退社した。
課長の家の近くの
スーパーで買い物をして
課長の部屋へと向かう。
ブザーを押すと
« ガチャ »
と、ドアが開いた。
私の顔を見るなら
照れ笑いする課長に
体調を尋ねながら
部屋に上がる。
ご飯たべましたか?
薬は、のみましたか?
熱は?
体だるくないですか?
私の質問に課長は笑いながら
答えてくれた。
熱はその場ではかり
37度3分だった。
少しひいてくれて良かった
と、思いながら
夕飯の準備をしながら
洗濯機を回し
課長に着替えをお願いして
シーツも替える
出来上がったご飯を
課長に食べてもらった。
普通食で大丈夫かと思い和食にした。
果物の桃を切ると
嬉しそうに食べた。
薬を飲ませて
枕元にミネラルウォーターを
置いて洗濯物を干す
食器を洗い終えて
寝室に行くと
課長は、眠っていた。
やはり、まだ、
本調子では···ないよな
と、思いながら
熱さまシートをおでこに貼り
しばらく見ていたら
課長のベッドに頭をのせて
寝てしまっていた。
サワサワと頭を撫でられる感触に
目を覚まし
慌てて顔をあげると
課長と目があって
「すみません。
寝てしまったようで。」
と、言うと
「ごめんな、疲れているのに。」
と、申し訳なさそうに言う課長に
「私が勝手に来ているのですから。」
と、言うと
優しく微笑んでくれた。
時間も21時を過ぎていたので
「帰宅をします。」
と、伝えると
課長は、寂しそうな顔をするから
「そんな顔をされたら
帰りにくいですよ。」
と、言うと
「じゃ、帰らなければ良い。」
と、言うから
「そんなわけいかないでしょ。
私は課長の部下で
恋人でも家族でもないのですから。」
と、言うと
課長は、ため息をついて
「じゃ、家族になって。」
と、言われて
「????」
首を傾げると
「赴任してから、ずっと
気になっていた。
青山の仕事に対する姿勢も
取り組みも気遣いも
それに、綺麗さも
バツイチのおじさんだが
付き合って欲しい。」
と、言うから
一気に赤面してしまい
「····あの····考えさせて貰えませんか?」
と、言うと
「すまん。もっとロマンチックに
告白したかったのだが。
今、伝えてしまって。」
と、言うから
首を横にフラながら
笑ってしまった。
「私は、前の彼と
お互いに仕事の忙しさから
連絡を取らなくなり
自然消滅みたいになってしまい
恋愛に向かないのかと
思っていたので
気持ちの切り替えが
できなくて。」
と、話すと
「会社に入りたては
誰でも会社に慣れること
仕事を覚えることに
必死なんだ。
そんな中で恋人に寄り添い
お互いに励ましあうのじゃないのか?
その男にそんな器がないだけだ。
青山がそんな風に思う事はない。」
と、言って貰えて
なぜだか涙が溢れた。
正樹との別れに
何の感情もないと
思っていたけど
思うところがあったのだと
改めて思った。
課長は、私をそっと抱き締めて
背中をトントンとしてくれた。
人の温かみを久しぶりに
感じてしまい離れたくない
気持ちが沸いたが
課長は、病人だと思い
「すみません。課長、体調が悪いのに。」
「いいや、役得だと思っていた。
送ってあげれないけど
気をつけて帰るんだよ。」
と、言ってタクシーを呼んでくれた。
私のマンションから
課長の家までは
そんなに遠くないが
感謝しながら帰宅した。