先輩、後ろの2文字ください。
それと同時に、もっといろいろな表情を見てみたいって思った。
「じゃあ……、かほさん?」
「うっ、かほでいいって……」
「呼び捨てはなれなくて……」
「じゃあ、もうそれでいいよ」
諦めたように言うと、彼女は僕の手を掴んだ手とは反対の手でシーソーを指差し、にこやかに笑った。
「アレ! 一緒に乗ろ?」
「……うん!」
力強く頷けば、引かれる右手。
勢いに負けてついていけば、グリップを握らせられ、着座部に座らせられる。
馴染みのあるリズムで上下に動く遊具に心が躍った。
前を見れば、楽しそうに笑い声をあげる彼女。
……かわいいな。
この笑顔、僕が守れたらいいのに。
僕が、笑顔の理由になったらいいのに。
気がつけば、心の中でそんなことを口にする自分がいた。