先輩、後ろの2文字ください。

「みっくん? どうしたの?」


腕の中で僕を見下ろす黒い瞳。
少しの身長差はこういうときに誤魔化しが利かないから辛いな、なんて少し思いながらなんでもない、と首を振る。


「なんでもなくないでしょ。何考えてたの?」

「……数センチなのに、こういうとき差が歴然とするので辛いなって」

「そんなこと気にしてたの?」


“そんなこと”か。
僕にとっては、結構心にくることなんだけど。

プラスに考えれば、夏帆先輩は身長なんて気にしていないってことだけど、ちょっとは僕の気持ちも汲み取って欲しい。好きな子より低い男って、カッコ悪くて仕方ないんだから。

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