先輩、後ろの2文字ください。
「みっくん……?」
不安な心が、彼の名を口にする。途端に始まったカウントダウン。
三のカウントで戻った視界。
耳元で伝えられた言葉に、ハッとしたその瞬間。
夜空に、大きな花が弾けるように散って、辺りを照らした。
空に視線が集中したそのタイミングで、彼は私の手を引き、その腕の中に私を閉じ込めた。
ドキドキと高鳴る鼓動。
『夏帆先輩、誕生日おめでとうございます』
その言葉の意味をやっと理解する。
咲いては散り、大きさに関係なく目を奪われるような輝きを放つ花弁。
声が出なくて、視界も滲んできた私に彼は優しい笑みを向けてくれた。
「本当は、これを見せたくてここに連れてきたんです」
泣かれるとは思いませんでしたけど、なんて笑いながら私の涙を人差し指の背で拭う彼。