茉莉花の花嫁
言いたいことはたくさんある。

5年間もつきあってきた自分を捨てて、後から現れた女と一緒になるのか。

本当は自分に気に入らないところがあったんじゃないか。

(誕生日なのに…)

誕生日だと思って期待をしていたら、プロポーズじゃなくて別れを告げられた。

「君には、本当に申し訳ないと思ってる。

5年もつきあっといて、こんなことになって…だから、せめてもの償いだと思って…」

その償いが、自分を高級ホテル内にあるフレンチレストランに連れて行くことだったのだろう。

償いを望んでいる訳じゃないし、償いをして欲しいと言う訳でもない。

予想をしなかった出来事に打ちひしがれていたら、
「――じゃあ、こいつは俺がもらっていいんだな?」

第3者の声が入ってきた。
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