茉莉花の花嫁
茉莉花は目を伏せると、
「――はい…」
と、呟くように返事をした。

「そうか…」

そう返事をした清瀬に、茉莉花は目をあげて彼を見つめた。

「呪いって、何なんですか?

黒百合の花言葉は“呪い”や“復讐”と怖い意味がありますが…」

「知りたいか?」

清瀬が言った。

「はい」

首を縦に振ってうなずいた茉莉花に、
「もし俺がどんなヤツでも、この時代の人間じゃなくても、お前はそれで大丈夫か?」
と、清瀬が言った。

「えっ…?」

茉莉花は自分の聞き間違いかと思いながら、
「この時代の人間じゃないと言うのは…?」
と、聞き返した。

「本当だったら、俺とお前は関わらない方がいい運命なんだと思う」

清瀬はそう前置きすると、
「俺は大正時代の人間だから」
と、言った。
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