茉莉花の花嫁
「俺の時代にはそんなものはなかったのに、本当に便利な世の中になったものだ」

そんなことを言った清瀬に、茉莉花はジョーダンなのではないのだと思った。

「本当に、大正時代の人なんですね」

そう言った茉莉花に、
「そうだと、俺は言っている」

清瀬は答えた。

「俺は大正時代に、呪いをかけられた。

不老不死の呪いをヤツにかけられたんだ」

「ヤツ…?」

そう聞き返した茉莉花に、
「“鬼”と言った方がわかりやすいかも知れない」

清瀬は言った。

「もう1度だけ聞く」

清瀬は茉莉花の顔を見つめると、
「俺がこれからお前に話すことは空想の物語でもなければ架空の話でもない、俺の身に本当にあった出来事だ」
と、言った。
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