茉莉花の花嫁
第4章・白詰草の片思い
まるでどこかのファンタジーの世界だと、茉莉花は思った。

「――私が、その“茉莉花の花嫁”なんですか…?」

呟くように聞いてきた茉莉花に、
「茉莉花は何の花なのか、知っているか?」

清瀬は聞いてきた。

「ジャスミンですよね?

主にお茶とかお香によく使われている花でおなじみの」

そう答えた茉莉花に、清瀬はそうだと返事をした。

「俺も自分なりに“茉莉花の花嫁”について調べたが、それに選ばれた女からジャスミンの香りがするとのことだった。

お前からその香りがした時、俺はあの黒鬼が言っていた“茉莉花の花嫁”だと言うことに気づいたんだ」

そう言った清瀬に、茉莉花は腕を鼻に近づけて自分の匂いを嗅いだ。

彼が言っているジャスミンの香りはしなかった。
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