茉莉花の花嫁
茉莉花は清瀬の顔を見つめた。

(私は、清瀬さんが先ほど話していた“茉莉花の花嫁”なんだ…)

「信じられないだろう?」

そう思った茉莉花に清瀬は自嘲気味に言った。

「信じます。

先ほども言ったと思いますけれど、私は信じます」

茉莉花は言い返した。

「そうか…」

「他に…」

返事をした清瀬に、茉莉花は呟いた。

「他に、何か呪いを解く方法はないんですか?

清瀬さんが死なずに済む呪いを解く方法は他に…」

「俺を好きにならないことだ」

茉莉花の言葉をさえぎるように、清瀬は言った。

「お前が俺を好きにならなければ、俺は死なずに済む。

ただし、俺にかけられた呪いは解けないままだけどな」

そう言った清瀬に、茉莉花は口を閉じた。
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