茉莉花の花嫁
「俺の身に起こった出来事を聞いて、俺が呪いにかけられていることを知って、お前はかわいそうと思った。

だから同情で俺にかけられた呪いを解こうとしている、そう言うことだろう?

お前は善意のつもりなのかも知れないが、そうされるのははっきり言って迷惑だ」

茉莉花の瞳が見開かれたままの状態で色を失った。

そんなことを言われた理由がわからないと言う顔で、茉莉花は自分を見ていた。

(このまま、俺を嫌ってくれればいい…。

そうした方がお互いにとってもいい…)

「――同情なんかじゃ、ありません…」

震えている声で、茉莉花が言った。

色を失っていたその瞳に色が復活して、自分を見つめる。

「あなたを…」

茉莉花は自分を落ち着かせるために深呼吸をすると、
「あなたを、好きになってしまったから…です」
と、言った。
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