茉莉花の花嫁
店員も客も、どこか気まずそうな様子で彼らのことを見ていた。

理由によると、恋人には結婚したい女性がいると言うことだった。

今までつきあっていた茉莉花と別れて、その女性と結婚して幸せな家庭を築きたいと言うのが理由だった。

今日茉莉花を誘ってここへきたのも、その償いだったと言うことである。

(何なんだ、あいつは…!)

清瀬の胸の中にフツフツと怒りがこみあげてきたのがわかった。

――昔の男ほど、頭の古い男ほど、男は女を大切にしない!

いつ聞いたのかは忘れたが、カフェで周りがいるにも関わらず、憤慨した様子で言っていた女の言葉を思い出した。

彼女は最近夫と別れたばかりで、その別れた夫と言うのが平気で浮気を繰り返していたクズで…と、話の内容までも頭の中に浮かんだ。
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