茉莉花の花嫁
「――わ、私じゃダメなの…？」

呟くように聞いた茉莉花に、
「ごめん…」

熊元は呟くように謝った。

「俺、君と一緒に家庭を持っている姿を想像できなかったんだ。

君が子供の頃から夢見ていた花関係の仕事に就いているのはすごいと思うし、仕事に熱心なのはわかってる…だから、家庭を持っている姿を想像できなかったんだ。

父と同じ仕事優先の人になりそうだなって思って…子供ができた時のことを考えると、寂しい思いをさせそうだなって」

「…それが、虎頭さんだったら想像できたって言うの？」

そう聞いた茉莉花に、熊元はコクリと首を縦に振ってうなずいた。

「子供にも優しく接していたし、料理もとても上手だったし…彼女に聞いたら、“旦那さんと一緒に幸せな家庭を築くことが夢だ”って答えてくれたから、この人と結婚したいってそう思ったんだ」

熊元は言った。
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