結婚から始めましょう。
「桃香、お疲れさま。控室に着替えを用意してあるから行っておいで。後で迎えに行くよ」
パーティーを無事に終えて、蓮に言われるまま控室に戻った。
着替えを済ますと、やっと体の力も抜けてホッとする。自分が思っていた以上に緊張していたようだ。
言われた通り控室で待っていると、ドアをノックする音がした。たぶん、蓮だろう。
「どうぞ」
気軽な気持ちで声をかけた直後、入ってきた人物を見て、一瞬にして体が強張った。
そこにいたのは、受付で私を睨みつけてきた女性だった。
「ど、どうかされましたか?」
わずかに震える声で尋ねると、彼女はさっきそうしたように、憎しみを込めたような目で睨んできた。
「秘書課の黒田と申します」
こちらも挨拶を返そうとすると、黒田は遮るように話しはじめた。
「よく堂々と出てこられたわね」
「えっ?」
「社長には、たくさんの見合い話が持ち込まれていたわ。それはもう、あなたとは比べ物にならないような方ばかり。社長令嬢や取引先関係の女性。カサブランカにとって、プラスになるお相手ばかり。
だって社長は秋葉グループの御曹司ですもの。あたりまえよね。
たとえ、爪弾きにされていても」
爪弾き……
途端に心臓がドクドクと早鐘を打ち出した。胸が痛い。
この人は、何か知っているのだろうか?
真人の言葉も蘇ってきて足が震え始める。
だけど、言わずにはいられなかった。
私のことは何を言われてもかまわない。
けれど、蓮のことを悪く言われるのは許せない。
パーティーを無事に終えて、蓮に言われるまま控室に戻った。
着替えを済ますと、やっと体の力も抜けてホッとする。自分が思っていた以上に緊張していたようだ。
言われた通り控室で待っていると、ドアをノックする音がした。たぶん、蓮だろう。
「どうぞ」
気軽な気持ちで声をかけた直後、入ってきた人物を見て、一瞬にして体が強張った。
そこにいたのは、受付で私を睨みつけてきた女性だった。
「ど、どうかされましたか?」
わずかに震える声で尋ねると、彼女はさっきそうしたように、憎しみを込めたような目で睨んできた。
「秘書課の黒田と申します」
こちらも挨拶を返そうとすると、黒田は遮るように話しはじめた。
「よく堂々と出てこられたわね」
「えっ?」
「社長には、たくさんの見合い話が持ち込まれていたわ。それはもう、あなたとは比べ物にならないような方ばかり。社長令嬢や取引先関係の女性。カサブランカにとって、プラスになるお相手ばかり。
だって社長は秋葉グループの御曹司ですもの。あたりまえよね。
たとえ、爪弾きにされていても」
爪弾き……
途端に心臓がドクドクと早鐘を打ち出した。胸が痛い。
この人は、何か知っているのだろうか?
真人の言葉も蘇ってきて足が震え始める。
だけど、言わずにはいられなかった。
私のことは何を言われてもかまわない。
けれど、蓮のことを悪く言われるのは許せない。