結婚から始めましょう。
改めて部屋を見回してみると、確かにここは病院のようだと思う。でも、少し様子が違う。内装がすごく豪華だ。
個室のようだけど、その広さは大部屋以上だし、壁には豪華な絵画まで飾られている。大きなテレビに、給湯スペースまで完備されていて、まるで、ホテルの一室のようだ。

「華子さん、ここどこ?」

「ベリーヒルズ総合病院よ。秋葉さんが桃ちゃんの為にこの部屋を用意してくれたの」

「どうしてここに?」

「桃ちゃんね、秋葉さんと一緒にカサブランカのパーティーに出た後、控室で倒れちゃったの。迎えにきた秋葉さんが気付いて、そのままここに搬送されたのよ」

カサブランカのパーティーと聞いて、ハッとした。

そうだった。
控室で蓮を待っていたら、黒田が来て……

言われた言葉を思い出して、涙が浮かんでくる。

「私のせいで……汚点でしかなくて……」

自分の内に収めきれなかった黒田の言葉が、口を突いて出てくる。
ここがどこなのかも忘れて取り乱しはじめた私を、華子が止めようとする。

「桃ちゃん、落ち着いて。大丈夫だから」

それでも泣き喚く私を、華子が必死で抱きしめてくる。


「大丈夫ですか」

再び駆けつけた医師は、私の様子を見るとすぐさま薬を追加した。
次第に呂律が回らなくなっていき、そのまま再び眠りについた。




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