結婚から始めましょう。
「ここで桃香さんは働いているんですね」

「そうですよ。小さな会社なので、和気藹々と楽しく働かせてもらってます」

カサブランカの入っているオフィスビルとは比べようもないほど小さな未来アートの前で、蓮は興味深そうに言った。


「華子さん、ただいま」

「お帰り。あら、まあまあまあ、秋葉さんに送っていただいたの？」

私の半歩後ろに蓮の姿を見つけて、華子のテンションが一気に上がった。

「お久しぶりです」

他の社員は出払っているようで、事務所には華子しかいない。

「さあさあ、座って。今お茶をいれるわ」

華子は私達を社長室のソファーに横並びで座らせると、凄い勢いで給湯室に向かった。

「蓮さん時間は大丈夫ですか？華子さん、長く引き止めてしまうかも」

「大丈夫ですよ。元々ご挨拶するつもりでしたし」

２人でこそこそ話していると、お盆を持った華子が戻ってきた。

「あらあら。２人とも、もうそんなに仲良くなったの？」

「は、華子さん！！」

満面の笑みで茶化す華子に、思わず慌ててしまう。

「あなに、桃ちゃん」

「も、もう！！」

むくれる私の横で、蓮がくすくす笑っている。

< 46 / 138 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop