結婚から始めましょう。
「まあ、結婚を前提に!?私がお節介する前に、2人の意志で進めてくれてたなんて……」

感極まったのか、華子が瞳を潤ませている。何を言ってもご成婚につながりそうな勢いだ。

蓮は華子を落ち着かせようとしたけれど、華子の方が速かった。ガシッと蓮の手を両手で包むと、瞳を潤ませたまま崇めるように見つめた。

「秋葉さん。桃ちゃんを見染めてくれてありがとう」

蓮の手を離すと、一筋零れた涙を手で押さえる。こんな姿を見せられたら、なにも言えなくなってしまう。私なんて無条件降伏状態だ。

「桃ちゃん、秋葉さん。ここは私に任せて。2人はただ仲を深めてくれればいいから。
ああ、これから忙しくなるわ。お式はご両親と幸太郎さんに相談して……秋葉さん、ご両親は今どちらだったかしら?国内だといいけれど」

部屋の中を行ったり来たりしながら、思いのまま呟く華子に呆気にとられていたら、急に立ち止まって蓮の方を見た。
蓮も華子の勢いに若干押され気味だったけれど、問いかけにはすぐに応じた。

「国内に戻ってきています。多分で申し訳ないですが、沖縄あたりかと」

「そう。なら早いうちに連絡しないと。あれとあれと……そう、これも……」

だめだ。今の華子には、何を言ってもきっと届かない。暴走を止めるのは、落ち着いてからじゃないと無理だ。

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