結婚から始めましょう。
「華子さん、ありがとう。こんな綺麗なお嬢さんを紹介してくれて」

顔合わせの日、蓮達親子は私達より早くお店に着いていた。
私と華子が顔を見せた途端、最初ににこやかに声を発したのは、母親の陽子だった。
年齢不詳の美魔女な女性にそんなふうに言われれば、気後れしてしまう。

「それはこっちのセリフよ。こんな立派な息子さんなら、安心してこの子を任せられるわ」

「桃香さん、はじめまして。蓮の母の陽子です。こちらが主人で……」

手を向けた先には、真面目そうな雰囲気のお父様がいた。確か、高校教師をされていたはず。目元が優しげで、蓮に似ている。

「蓮の父の、秋葉拓馬です。桃香さん、よろしくお願いしますね」

丁寧な口調も声も、蓮に似ている。
どうやら秋葉の家に婿入りしているようだ。



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