結婚から始めましょう。
「今は荷物が少しありますが、ここを夫婦の寝室にしようと思います」

ゲストルームよりさらに広い寝室は、リビング同様に眺めが良い。まだベッドはないけれど、ここで一緒に寝起きするのかと思うと、今から緊張してしまう。

「来週末、予定が合えば一緒にベッドを見に行きませんか?」

「へ?」

思わず気の抜けた声が出てしまい、またもやくすりと笑われてしまう。
こんなの、いろいろ意識してますって言ってるようなものだ。恥ずかしすぎる。

「桃香さん、リラックスしてください。ここはあなたの家になるんですよ。いろいろと不安もあると思いますが、入籍するまでは桃香さんの嫌だと思うことは絶対にしませんから」

えっと……ん?

「入籍するまでは?」

「あっ、ばれました?もちろん、入籍後もあなたが本気で嫌がることはしません。ただ縁あって結婚するんですし、私だって男なので」

「そ、そ、そ、そうですよね……」

気まずいんですけど……

「まあ、おいおい」

「お、おいおいですね」

ガチガチになってしまう私を、蓮はくすくす笑っている。

「も、もう、蓮さん!!」

「すみません。桃香さんの反応が初々しくて、可愛らしくてつい。それでは、土曜にベッドと必要なものを買いにいきましょう」










< 62 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop