結婚から始めましょう。
「蓮さん、今後の仕事は事務だけになるので、完全に週末は休みになります。平日も定時で上がれるので、食事は任せてください」

食事を終えて、ソファーでくつろぎながら話をしていた。

「アドバイザーは、もうしないのですか?」

「はい。受け持っていた方も最後まで見届けられたので」

そう。純也もあのまま結婚が決まった。

「よかった」

「えっ?」

蓮の方へ視線を向けると、熱い眼差しを向けられていた。

「本当は、私以外の異性を名前で呼んでいるのが嫌でした」

「えっと……」

じっと見つめながら話す蓮の声音には、なんだか切なさが滲んでいる。

「他の人にもそうなのか、2人っきりで面談をしているのか……仕事だとわかっていても、嫌だと思ってしまうんです」

これは、嫉妬しているのだろうか?
なんと言えばいいのかわからず、じっと見つめ合ったまま時間が過ぎていく。


「キス、してもいいですか?」

その熱い視線に絆されるように、小さく頷いた。
蓮は私との距離を詰めると、顎に手を添えて顔を近付けてくる。それに合わせて目を閉じた直後、自分の唇に蓮の唇が触れるのを感じた。

数回啄むように触れると、そっと顔を離されるのを感じて目を開けた。きっと真っ赤になっているに違いない。蓮はおかまいなしに、自分の指で私の唇に触れてくる。それだけで背中がゾクリとした。


初めてのキスは、優しくて、甘くて、とにかく私をドキドキさせた。







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