結婚から始めましょう。
私と蓮が結婚することは、華子によってすぐさま社内に通知された。
いや、そんなかしこまったものじゃない。大喜びした華子によって、持ち前のよく通る声で世間話でもするかのように伝えられた。




そして、土曜日。蓮は私のマンションまで迎えに来てくれた。

「知り合いの家具店に行こうと思います」

蓮に連れられてきたのは、輸入家具を扱うおしゃれなお店だった。店内を見渡せば、どれもセンスが良くて、中には一点ものだという高価なものも飾られている。
とりあえず、今日の目的はベッドだ。

「サイズはキングサイズで……」

蓮の提案に考えを巡らす。あの部屋なら、中途半端なものを置くよりも思い切った大きさの方が良さそうだ。

「色は統一したいですね」

条件を出しながら絞っていくうちに、3点の候補が残った。どれも素敵で、果てしなく高価だ。

「桃香さん、どれがいいですか?」

その決断を一任されてしまった。値段は気にしなくてよいと言われるけど……
チラリと蓮に目を向けると、期待するように見つめ返されてしまう。こんな目をされたら……

「こ、これがいいです」

恐る恐る、特に気に入ったものを指した。

「それではお手続きしますので、おかけになってお待ちください」


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