結婚から始めましょう。
ホッと一息つきながら腰を下ろした瞬間、「蓮!!」と呼びかけられて顔を上げた。

「ああ、(ひろ)久しぶり」

「こちらは?」

紘と呼ばれた男性が、興味津々に私の方を見てくる。蓮と同年代だろうか。背が高くて整った顔をしている。物静かな蓮に対して、陽気なイメージの人だ。

「紹介するよ。婚約者の高橋桃香さん」

軽く会釈をすると、紘は驚いた顔をした。

「ついに伴侶を見つけたのか?」

「ああ」

照れくさそうに答える蓮に、紘は満面な笑みを浮かべた。心の底から喜んでくれているみたいだ。

「そうか、良かったな。
桃香さん、俺と蓮は、学生の頃からの友人なんですよ。ここの社長をしている、水谷紘です。よろしくね」

しゃ、社長!?
やっぱり、ご友人も凄い人だ。

「た、高橋桃香です。よろしくお願いします」

私の自己紹介を聞きながら、紘は嬉しそうに頷いている。

「それにしても、蓮。こんな美人さんを捕まえるとか、羨ましいわ」

び、美人!?

「桃香さんは可愛くもある」

ちょ、ちょっと……
何も言えずにおろおろしていると、紘が笑い出した。


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