一時停止の恋
私、とんでもないことをした気がする。


あれは、あのチョコは、私が初めて好きになった人に渡すはずのものだったのに。


私はあの人を好きになった?


たった数十秒会っただけなのに、まさか。


そうだ、彼は急いでいたし、ああするのが1番スムーズだった、ただそれだけ。


――じゃあ、これは何?


「……変なの」


私は、この気持ちの名前がわからない。


だから、今は、胸の奥にそっとしまった。


カバンから1つチョコを取り出し、口に放り込む。


すごく甘かった。
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