医学探偵S
驚く結弦に和都は満面の笑顔を見せる。言い方はかなり失礼だが一応褒められているのだ。嬉しくないわけではない。

その時、「失礼します。相談者の方をお連れしました」と受付の人がドアをノックした。和都がドアを開けると、三十代前半と思われる女性が立っていた。ブラウンのワンピースを着ている。

「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」

和都がニコリと笑い、ソファに女性を案内しようとすると女性は「痛ッ!」と言いながら頭を押さえる。さっきまで不安そうだったその顔は、一気に苦しげなものへと変わっていた。

「だ、大丈夫ですか!?」

突然のことに驚く和都に対し、結弦は「偏頭痛ですか?」と女性に訊ねる。女性はコクリと頷き、頭を強く押さえた。

偏頭痛とは、こめかみから目のあたりがズキズキと心臓の動きに合わせるようなリズムで痛むのが特徴だ。原因ははっきりとは解明されていない。二十代から四十代の女性に多く、生理前から生理中にかけて頭痛が起こるため、女性ホルモンとの関係性も疑われているが、男性にも起こる。
< 3 / 28 >

この作品をシェア

pagetop