触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
この前行った居酒屋とは別の店で飲むことになった。

お互い、1週間の激務をビールで労いながら、唐揚げに手を伸ばす。
今度は叱られないように、お酒の量を控えて固形物を積極的にとるようにする。



「ここに入社してから思ったんですけど、」



2杯目のビールを半分飲んだところで茜ちゃんが半笑いで言った。



「ミカさんって典型的な『女子に嫌われて男に好かれるタイプ』ですよね」



口に無理やり詰めた唐揚げが出てきそうになった。

いきなり言われてどう反応していいかわからない。

確かに同性からきつく言われることが多いけど……。




「入社して、5月くらいのときだったかな、ミカさんが営業の女の人から陰口叩かれてて、」

「あったね、そういうの」



そのとき私はトイレの個室にいて、出るに出られなかった。


触られたくない以前に、男の人を目の前にすると必要以上に緊張してしまう癖があって、それをなぜか「可愛こぶっている」と言われていた。

当人たちが出ていってから個室を出たら、茜ちゃんが驚いた顔をしてすぐに気まずそうにしていたのを覚えている。



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