触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
初めて入る澪ちゃんの部屋は、なんというかイメージ通りにシンプルだった。

コンクリートが打ちっぱなしの壁。
大きなテレビと立派なスピーカー、その隣のスチールラックが本棚の役割を果たしている。

テレビの前のテーブルの上には大学で使うのかノートパソコンが開いた状態になっていて、スチールラックの前には、ソファがない代わりに大きくて高価そうなマッサージチェアが窓に沿うように隅に配置されている。

リビングとキッチンを隔てる仕切りにはカクテルを作るときに使うのか、リキュールの瓶がずらりと並んでいた。



「とりあえず着替え出しますね、適当に座っててください。つっても地べたですが」



マッサージチェアに乗っていたブラウンのマシュマロクッションを手渡される。

澪ちゃんはそのままロールカーテンで仕切られた寝室らしい部屋に行ってしまった。

クッションを抱えたまま、スチールラックの前に立つ。
澪ちゃんが普段どんな本を読んでいるのか気になった。

漫画の類は全くなく、授業で使うのか心理学の本や医学書のようなものが多い。
そういえば澪ちゃんはなにを専攻してるんだろう。聞いたことがなかった。

ふと一際大きなサイズの本が目に付いた。
高校の卒業アルバムだ。
ーー見ていいかな。



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