触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
水曜日は澪ちゃんの仕事が休みで長くいられる日だったのに、気づいたら熟睡していた。

違う部屋から聞こえる人の話し声とタバコの匂いで目が覚める。

床に投げっぱなしにしていた制服はいつの間にかハンガーにかけられて、クローゼットの縁にかかっている。
ブラウスとストッキングは見当たらない。

だらしないところを見られてしまって、申し訳なくなる。



ロールカーテンを開けて寝室を出る。

真っ暗な部屋の中にテレビだけが点いていて、聞こえてきた会話はその中に映る人達のものだと気づく。
肝心の澪ちゃんがいない。



「ーーミカさん、起きた?」



声のする方を向くと、大量のリキュールの瓶の向こう、キッチンの換気扇の下に澪ちゃんが立っていた。
SARASAにいるときみたいに髪を後ろでひとつにまとめている。
口元には赤い光が見える。



「澪ちゃん、タバコ吸うんだね……」



少し意外だった。



「ミカさん、シャワーどうします? 一応タオルの準備はしましたけど」

「入ろうかな」

「じゃあ、こっちにどうぞ」



咥えていたタバコを灰皿に押し付けて、澪ちゃんがお風呂に案内しようと歩き出す。
後ろを着いて歩くとタバコの匂いが強くなった。
周りに女の人でタバコを吸う人をあまり見ないから、後ろ姿だけだと知らない人に見える。



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