触らないでよ！〜彼氏に振られたその日、女の子(？)に告白されました〜

始業までまだ1時間以上もある。

早朝から開いている会社のビルのカフェで、ホットコーヒーを頼んで時間をつぶす。

いつもお昼に会う店員さんが「今日は早起きしたんですか？」と声をかけてきた。
曖昧に笑ってうなずく。

窓際のカウンターに座って、熱くて飲めないコーヒーを冷ましながらネットニュースの見出しを眺める。

有名人の交際発覚、結婚、妊娠報告……。
だんだん縁遠い話に見えてくる。



「こちら、よろしければどうぞ」



横から紙コップを差し出される。
ふわふわの泡が上に乗ったカプチーノだった。



「試飲です。あ、ミルク入りは飲めますか？」

「大丈夫です、いただきます」



少ない量のカプチーノは、カップのコーヒーよりも冷めやすく飲みやすかった。
通勤ラッシュを迎えた外を見つめる。

コートを着た人の数が増えてきた。