触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
澪ちゃんが来た瞬間はすぐにわかった。

スーツやトレンチコートの人が周りにいる中、朝と同じくニットカーディガンにジーンズで、髪を後ろで結んでいる。

自動ドアを抜けたところで私に連絡しようとしているのか、スマホの画面を見ている。



「澪ちゃん!」



目が合って、澪ちゃんが笑った。



「お待たせしました」



青いネックストラップがぐるぐるに巻かれたカードキーを手渡される。



「わー、ありがとう!」



外で失くしたら処分ものだから、手元に戻って安心する。



「昨日はどうもすみませんでした」



私たちのやり取りを後ろで見ていた茜ちゃんが、隣に来た。



「あぁ、体調は大丈夫ですか?」

「はい、ありがとうございます」



かしこまった2人の社会人のやり取りのような会話に笑いそうになる。

でも、いつもの澪ちゃんらしくない。



「じゃあ私こっちのパス返してくるね、澪ちゃんありがとうね」

「いいえ、どういたしまして」



やっぱり私に対しても、茜ちゃんと話すときと同じ感覚で喋っている。

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