触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
「おはようございます」



会社に到着して、自分の席につく。

入り口で元カレの姿を探してみたけど、まだ来ていないみたいだった。

少しほっとする。



「おはようございます、ミカさん」



隣の席に座る今年入って来たばかりの茜ちゃんが、机の上にアメを置いて「どうぞ」と笑った。



「あ、ありがとう、いただきます」



包みを開いて口の中に入れる。

歯を磨いてきたばかりだったから少し違和感。

茜ちゃんは、自分の机に向き直してパソコンを立ち上げている。



緩く巻かれた茶色い髪。

綺麗なカールの長いまつげ。

色つやの良いピンクの唇。

小さなラインストーンが大人しくのった爪。

茜ちゃんの外見は、どれをとっても好かれる女の子のそれだった。




澪ちゃんもそうだ。



暗い店のなかでも映えるような化粧。

顔を伏せたときに見える長いまつげの影。

短く切り揃えた爪も丁寧に磨いてあるし、なによりその長い指でシェーカーを振る姿は綺麗な外見と相まってかっこよくて、男女問わず見惚れてしまうものがある。
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