触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
嵐のような2人が去って、サラサさんの視線が私に注がれる。



「ーーじゃ、私も帰ります」

「あら、ミカも帰るの?」

「うん、今日はちょっと寝不足で、体も筋肉痛でだるいし……」



不満そうな顔の澪ちゃんを横目で見て、ごめんねとジェスチャーする。

サラサさんが奥に引っ込んで、澪ちゃんがカウンターから出てドアの外まで見送ってくれた。



「じゃあ気をつけて帰ってね。家着いたらちゃんと連絡してね」

「あはは、またおか」

「お母さんじゃないから。彼氏だから」



間髪入れずに遮られる。

ふぅ、と呆れたようにため息をついて、澪ちゃんの唇が私の頬に触れた。



「今は外だから、これでおしまいね」

「今のも十分アウトな気がするけど……」

「そう? 可愛い女の子同士のスキンシップだよ」



「ほら」と言いながら澪ちゃんが抱きしめてくる。

全然おしまいじゃないじゃないか。
あー、胸がある。

朝の出来事を思い出して笑いが込み上げてきた。
あのときの澪ちゃんは今にも死にそうな顔をしていた。私もいっぱいいっぱいだったのに、今では笑い話だ。



「ーー百瀬さん?」「ミカ?」



フルネームを別々に分けて呼ばれた。

その声に聞き覚えがあって、慌てて澪ちゃんから離れる。
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