触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
「そろそろ行きましょうか。
あ、私、映画観に行きたいんです、いいですか?」



澪ちゃんが手を離して尋ねる。
私といえば夢中になって、ふわふわのファーを触りすぎていた。

映画という言葉に、胸がちくんと痛む。

でも澪ちゃんは澪ちゃんなりに、今日の予定を決めてくれたのかと思うと無下にできない。



「うん、行こう」



今しがた来た道をまた戻る。

映画館は駅の通りにある。

先週も行った場所に、今度は違う恋人を連れて歩くなんて、はたから見たら私、とんでもない人間なんじゃ……。

澪ちゃんが女の子でよかった。


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