触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
入場受け付けのゲートを通りすぎてから、お金を返そうと澪ちゃんの腕を引っ張る。

澪ちゃんは「お財布をしまっちゃったから受けとるのがめんどくさい」と言って笑った。



「早く席に着きましょう。
私、映画観るの久しぶりで楽しみなんですよ」



チケットの半券を見ながら席を探す。
話題の映画だけあって、中はすでに人で埋まっていた。

私の前を歩く澪ちゃんが座席の後ろの方まで移動する。
そしてホールの端の席で足を止めた。





「ここですね。
もう少し早く来ればよかったかも。
ごめんなさい、見えますか?」

「後ろ側だから見えやすいよ。
それに私がこの映画観たいって言ったんだから気にしないで」



座席に座るとすぐに照明が落とされて暗くなった。

大きな音楽と共に、映画館のマナーを提示したムービーが流れる。

映画の始めは音が大きくていつ観ても驚く。
でもワクワクする。

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