触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
駅までの道を歩く。

そういえば前は車で迎えに来てもらっていたから、ここまで澪ちゃんと歩くのは初めてだ。



「今日のご飯、私が作ってもいいかな」

「作ってくれるの? 楽しみ!」



子どもみたいに、澪ちゃんの目が輝いた。



「普段あんまり自炊しないから、時間かかると思うし失敗するかもしれないけど」

「じゃあ俺も手伝う! なに作るの?」

「……ハンバーグなんてどうでしょう」



小学生の頃、家庭科の授業で一度だけ作ったことがあるから、たぶん失敗しないはず。



「やった! 俺ハンバーグ大好き!」



ーー知ってる。
初めてデートしたときも、大きいステーキかハンバーグ、どちらにするかで迷っていたから。

まだ作ってもいないのに、澪ちゃんのリアクションを見てホッとする。







電車に乗り、大学の近くにあるスーパーに寄る。

調味料すらほとんど家にないという澪ちゃんと一緒に、スマホでレシピを確認しながらハンバーグの材料を揃えていく。

ただの買い物なのに、本当に同棲しているようで楽しくなってきた。



「楽しいねぇ」



スーパーからの帰り道、同じことを思った澪ちゃんが笑った。

< 234 / 259 >

この作品をシェア

pagetop